一昨年のネパール巡礼の旅に続き、梵字仏の奉納と普及のため、本年 3月25日より4月24日までの一ヶ月間、インドを旅して参りました。
最南端のコモリン岬より北上し、チェンナイ、アウランガーバード、デリーを通り、最北のカシミールまでの約3000キロの行程を、夜行バスや飛行機などを乗り継ぎながら、一ヶ月をかけて巡りました。
インドに降り立ち初めて見たアラビア海に、えもいわれぬ感興を覚え、コモリン岬では、朝陽と夕陽の両方を拝し感動。(コモリン岬はアラビア海とインド洋とベンガル湾の3つの海の合流地点で、なんと同じ場所で朝陽と夕陽の両方を見ることができます。)
マハーバリプラムで見た『タイガーケーブ』の遺跡に刻まれた書が梵字の様相を呈しており、これがもし梵字であれば、世紀の大発見‼️ ということで、インドの考古学調査機関に問合せたところ、分からないとの回答だったため、現在、引き続き調べています。
アジャンタやエローラの仏教遺跡の中で、最も感銘を受けたのが、紀元前1世紀の初期の石窟です。
時代が下るほどに、石像も立派になっていくのですが、初期の飾りの無い石窟に、瞑想により自分自身と向き合うことを重んじる、仏教の原点を見た思いがしました。
海岸寺院
クリュシナのバターボール
ダライ・ラマが居られるお寺、ツクラカンの門前町であるダラムサラは、観光地と化し、もはや聖地の面影は無く、街から外れた自然の中に清らかな気を感じました。
カシミールでは、クミリで縁あって出会ったイスラム教の方のお宅に泊めていただき、14歳の息子さんと、互いの名前を母国語で書き合って交換するといった交流もさせていただきました。
またその節、息子さんが所持していた、アラビア語とウルドゥー語で書かれたコーランに、梵字に通ずる聖なる力を感じ、できるならば譲ってほしいとお願いしたところ、快く譲ってくださいました。
カシミールといえば、絨毯やショール等の伝統工芸品で世界的に知られていますが、問屋さんで、現地の人も目にすることがないような貴重な製品の数々を見せていただき、おっタマゲました。
今回の旅の主目的である梵字仏の奉納と普及活動の成果は、以下の通りとなります。
・ダライ・ラマが居られるお寺、ツクラカンに、観世音菩薩の梵字書の掛軸と、梵字教室の生徒の梵字書を奉納
・独立戦争の発端となり、多くの犠牲者が出たアムリトサルにて梵字仏を埋納
・アラビア海の海辺、コモリン岬、クミリ、クリシュナのバターボール、鷲寺、アジャンタ、エローラ、プネー、デリー等の各地に、新潟県糸魚川市の姫川薬石に書した梵字仏を埋納
また旅の先々で出会った方々に、梵字の阿字と、英語で書かれた説明文を渡し、世界平和を祈る梵字仏の普及に力を尽くしました。
インドは呼ばれないと行けない場所と言われているそうですが、今回、私は梵字の故郷であるインドの神々に呼ばれたような気がしています。 というのも、この旅で、ヒンズー教、イスラム教、スィク教、ジャイナ教、キリスト教、仏教、チェベット密教と、世界の様々な宗教の寺院や聖地を訪れ、梵字仏を納めることが出来たからです。
人類が、宗教宗派を超えて、宇宙自然という大きな真理、理法の元に進化成長していく途上にある中で、梵字仏が、そのための灯となり、またその守護者としての大いなる力を秘めていることを、あらためて強く確信した、今回のインドの旅となりました。
2024.5.5
梵字書道家 田邊武 記
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